宇宙と宇宙飛行士の話。
「宇宙飛行士に学ぶ心の鍛え方」(古川 聡著)
を読んだので、宇宙の話を。
小学生低学年の頃、UFOが教室で話題になったことが、
宇宙との最初の出会いだった。
空飛ぶ円盤、エイリアンの本を見ながら興奮した記憶がある。
地球以外に生命体が存在し、実は地球人のことを操って遊んでいる。
そんな妄想を膨らますことが怖いながらも、面白かった。
その頃、何かの本で「ブラックホールはあらゆるものを吸収する」
「宇宙は今でも膨張し続けていてその広さは未だ解明できていない」
ということを知ってから、なんだか怖くなって宇宙を意識的に避けていた。
今、振り返ってみると、想像のキャパを超えるものに対して、
怖れ、というか畏怖の念があった気がする。
それは「死んだら自分はどうなるのか」を考え、避けてきたのと同じような感覚かなぁと。
そして時が過ぎ、アポロ11号が月面着陸を成し遂げた。
アメリカ国旗の影がない、月の石は偽物だ!そんな物議を醸しながらも、
想像力をかきたてるこのニュースに心を躍らせた。
地球外生物はいたのか、宇宙の漆黒の闇はどう表現するのか、地球を見る心境は…。
たまらないね、これぞ男のロマン。
それこそ、地球を見るという視点は究極のメタ認知になるのか、
宇宙飛行士が宇宙に行った後に宗教に傾倒する傾向があるらしい。立花隆氏によると。
それでもまだ宇宙ということに対して実感が湧かない。
社会人になり、ひょんなことからJAXAの新卒採用の栞(しおり)を作ることに。
その繋がりから、宇宙飛行士のインストラクター責任者である山口孝夫さんを取材。
http://doda.jp/guide/article3/006.html
超かっこいいぜ、山口さん。
そして、宇宙飛行士がどのような訓練を受けているのかを生で聞けて感動。
取材場所は筑波宇宙センター。管制塔がある部屋は入れなかったけど案内をされ、
ここから色んな指示を出しているかと思うとヨダレもの。
写真撮影を試みるも丁重にお断りされた。そりゃそうだ。大変失礼しました…。
(アメリカに行けるのだったら山崎直子さん取材もOKだったが予算の観点から会社から許可がおりず。残念!)
宇宙と言えば世界最先端のテクノロジーが研究、開発されている。
それは、軍隊の兵器にも応用されるほどのレベルで、
アメリカが国家予算をつぎ込むだけの価値はそこにあると言ってもいい。
ある話によると、アメリカが自動車産業で日本に追い抜かれたのは、
優秀なメカニックやエンジニアがNASAに行ったからだと言われるほど。
その世界最先端テクノロジーを使いこなす宇宙飛行士という存在とは…
ここでようやく本の内容へ。ずいぶん前置きが長かったけれど、それはご愛嬌!
・宇宙飛行士のストレスマネジメント
・人間関係からくるストレスへの心の鍛え方
・リスクを恐れない心の育て方
・先が見えない不安との付き合い方
・想定外の危機に立ち向かうには
など、常に極限状態を強いられる宇宙飛行士だから語れる内容が盛り沢山。
特に「物事に本来意味はない。意味を込めているのは人間であり、自分である」。
という言葉には、「深いぜ、古川さん!」とつい言葉を発したぐらい。
あとね、山口さんと話していてすごく思ったのだけれども、
ユーモアを随所に散りばめてくる。これがね、本当にすごいんだ。
本にも「笑いが生んだリラックス効果」というテーマがあるぐらい、
笑いやユーモアは、宇宙飛行士のコミュニケーション能力の大切な要素とのこと。
異なる人種、宗教、価値観の人たちが100日以上、
宇宙という、命が保証されない空間で共同生活をするって、
人格、リーダーシップ、専門スキルの総量が半端ないのだと思う。
だからこそ、憧れる。宇宙飛行士のように強く、優しい人間になりたいと思う。
「男は強くなければ生きていきない。しかし、優しくなければ生きていく資格がない」
フィリップ・マーロウの言葉で締めくくりにしよう。そうしよう。