take0329のブログ

好きこそものの上手なれ

投資家が「お金」より大切にしていること⑥

日本の投資信託はトピックス型だらけです。トピックス型とは、東証株価指数をもとにつくられる金融商品のことで、要は有名な大企業の株だけで構成されています。


じつに日本のファンドの90〜95%くらいが、良い企業を選ぶという本来のファンドではなく、東証株価指数ベンチマークにした「ミラーファンド」となっています。


本来は良い会社をしっかり選ぶことが求められているはずのファンドが、トピックス型ばかりになるのは何ででしょうか?


それは、運用会社がサラリーマン企業だからです。つまり、お客さんのお金が増えるかどうかよりも、サラリーマンとして怒られないかどうか、という観点で運用するわけです。東証株価指数と同じ動きであれば、もしお金が減ったとしても、東証株価指数も落ちているから、と言い訳ができます。責任を回避できるし、クビになることもありません。


そういうきわめて不真面目な状況の中、私たちの会社では、東証株価指数をほとんど参考にしないでファンドを作っています。


では、何を基準にしているかといえば、社会のために役に立っているかどうか、そして、成長しているかどうかです。成長する会社を見極めるのはもちろん簡単ではありませんが、これから成長していく(株価が上がっていく)会社に投資するというのはきわめてシンプルですし、本来ならばそれが当たり前の基準になっているはずです。


ソニーの凋落の兆しはプレゼンに表れていた」という小見出しから始まる文章も紹介!


1999年、コムデックスというITやエレクトロニクスの展示会を視察しにラスベガスに行ったときのこと。特に印象的だったのは、マイクロソフトビル・ゲイツです。


ゲイツは、未来の話しかしなかったんですね。10年後の社会はこうなっているなど「○○という未来を実現したいから、我々は存在している」という「ミッション・オリエンテッド(使命志向)」な考え方。ミッション・オリエンテッドとは、ミッションやビジョンの実現を最重要課題とすることです。


会社の商品やサービスも、そのミッションやビジョンの実現のために存在するし、提供する意義があると考えます。プロダクトがいかに優れているかではなく、いかにその「価値観」をも共有し、「あるべき未来」を実現していくか。そこが重要なんですね。


さて、ソニー出井伸之社長はどうだったか。プレゼンは、他のアメリカ人経営者たちと違って、うちの技術はいかに素晴らしいか、という話に終始していたんですね。


途中でたくさんのAIBOが出てきて歩いたり踊ったりします。また、胸元のポケットからデジタルウォークマンを取り出して「こんなに小さいのに、すごい音が鳴るんだ」みたいなことを言うわけです。きわめてプロダクト・オリエンテッドであり、ソニーがあることによって世の中がどう変わるか、みたいな話は一切ありませんでした。


誤解していただきたくないのですが、私は別に「アメリカ人は素晴らしい。日本人はダメだ」ということを言いたいのではありません。「技術なんて磨いても無駄」と言いたいのでもありません。単純に、自分のことではなく、お客さんのことを真剣に考えてほしいのです。その上で初めて、手段として技術というものが存在するのだと思います。「真面目な努力」が美徳になるような社会にしていってほしいと思います。


では、真面目な会社かどうかを見分ける方法は何でしょうか。


私が「その会社が真面目かどうか」を判断するために、ひとつの基準としているものがあります。それは「アニュアルレポート」です。


アニュアルレポートとは、毎年一回、株主や投資家に配られる年次報告書のことです。ビジネス上の正式な書類である有価証券報告書決算短信などとは違い、各企業が自由なスタイルで書いてもいいものなんですね。だから、自社をアピールするためにどの企業も写真などをいっぱい載せて、わりとビジュアルを重視しています。


多くの会社は、「社員を大切にしている」と言います。ところが、実際にその会社のアニュアルレポートを見てみると、そこには社員の写真が一枚もなかったりするのです。だいたいは社長の写真が大きく載っていて、あとは製品や工場といった写真ばかりです。


家族写真に例えると、父親と長男のみが写っている写真を人に見せながら「私は家族のことをじつに大切に思っているんだ」と父親が言っているものでしょうから。


さてさて今回はここまで。あと少しで読み終わるぜ〜!